まみこ先生のParis通信〈第5回〉- パリの幼稚園の給食について -
教育 2020.01.21寒中お見舞い申しあげます。
Je vous souhaite une bonne année et une bonne santé .
皆様、こんにちは料理研究家の井上麻美子です。
今年はシャンゼリゼ(Champs-Élysées )でのカウントダウンで、新年を迎えました。
12月5日からはゼネストで、パリ交通公団やフランス国鉄なども一斉に大規模なストライキを行っていました。
約2ヶ月続いたこのストもようやく終わりそうでほっとしています。
写真はアパルトマン前のパリ市庁舎(Hôtel de Ville)のライトアップです。
クリスマス前からお正月まで、モミの木と白樺の森ができ、青いライトの中を雪が降りました。
8日からは一斉にセールが始まり、街中にSoldesの張り紙があふれています。
在仏3年目となる今年は、さらに日本の食文化や和の心を多の方にお伝えしたいと思います。
本年もよろしくお願い申し上げます。
先日パリの幼稚園で先生をしている女性が、レッスンに来てくださいました。
ずっと気になっていた食育について、生の声を聞くことができましたので
今回のコラムは、フランスの幼稚園の給食について書きたいと思います。
こちらの幼稚園では、給食が出されます。
クラスごとに食べる日本と異なり、La Cantine(キャンティーン)と呼ばれる食堂にみんなで集まって食べます。
食事内容はというと
アントレ(Entrée)*、メインデッシュ (Plat Principal)、チーズ(Fromage)、デザート(Dessert)のフランス料理のコース仕立てになっています。
*アントレはフルコースの食事で、スープまたは前菜の後、肉魚料理の前にでる料理。
現在では、1皿目にとる軽い料理(ハム、パテ、サラダ、パイなど)を指します。
そういうと高級フランス料理店での料理をイメージしてしまいそうですが、
これはレストランやカフェで出てくる簡単なコースとほぼ同じ構成です。
写真は、幼稚園給食の献立表です。

(引用文献:alter ego+ P137)
なんともフランスらしいと思われませんか?
特に私が気になったのは、下記の4点です。
1.コース仕立てになっていること
2.2つの料理から選べる日があること
3.チーズが毎日ついていること
4.必ずデザートがついていること
では、それぞれについて見ていきます。
【 1. メニュー構成 】
このメニューにあるように
アントレに、簡単なサラダやパテ
メインデッシュは、ソテーしたお肉やパスタ
豊富な種類のチーズ
果物でも良いのですが、デザートが順番に出てきます。
子ども達は家庭でも幼稚園でも、一皿ずつ食べる食事マナーを学ぶのです。
【 2. 宗教の問題 】
初めて見た時には個人主義のフランスらしく、各自好みの方を選ぶのかと思っていました。
しかしこれは宗教の問題と知り、日本との違いを感じました。
豚肉が食べられない場合は、鶏肉を選べるようになっています。(好き嫌いでは選ぶことは出来ません)
*Lundi (月曜)のメインの、豚肉のソテーまたは羊
*Vendredi (金曜)の前菜、パテは豚肉を使用しているので鶏肉のテリーヌ
【 3. 豊富なチーズの種類 】
チーズの国らしくフランスでは、1年365日間、毎日違う種類のチーズを食べることができると言われています。
給食で食べることで、子供達は多くの種類にふれることができるのです。
*Comté(コンテ)は、熟成ハードチーズ
*Brie(ブリー)は、白かびチーズの一種
【 4. デザートについて 】
フランス人はデザートを食べないと、食事が完結しません。
みんなチョコレートが大好きなので、この献立の中ではチョコレートのムースが一番人気です。
日本では大きな問題となっている食物アレルギーですが、こちらでも年々増えています。
給食ではアレルギー食についての対応はなく、そういう場合は家から食事(弁当)を持参するか、昼食時間が長いので家で食事をとることになっています。
またパリでは、ベジタリアン料理を月に3回取り入れることが義務付けられています。
今後はBIO大国のフランスらしく、ますますオーガニックの食材の使用を増やしていく傾向になりそうです。
Au revoir très bientôt
井上麻美子
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